にょろにょろについて
ちゅんちゅとにょろにょろ。
砂場の横でぐうぜん出会った。
出会った瞬間、なぜだか生まれて初めてすごくきんちょうした。
ちゅんちゅはにょろにょろをおかあさんにみせたいと思った。
きっと喜んでくれると思った。
おおきなにょろにょろをつかまえたねって、きっとほめてくれると思った。
しばらく内緒にして、びっくりさせようと思った。おかあさんのよろこぶ顔を想像していたら、ちゅんちゅまでしあわせな気持ちになった。
ちゅんちゅはにょろにょろにごはんをあげた。
風邪をひいたら一晩中看病した。
それから一日一回、おさんぽをした。
おかあさんよりおおきなにょろにょろをつかまえたって、誉めてもらおうと思っていた。
にょろにょろはどんどんおおきくなって、おさんぽにいくのが大変になった。だけどなんだか楽しかった。
ちゅんちゅは大きくならなかった。
おなかがすいてもがまんをしていたからだった。
ちゅんちゅはにょろにょろに飲み物をあげた。
ケガをしないように、毎日まもってあげた。
得意な歌もいっぱい歌ってきかせてあげた。
そのうち、にょろにょろをつかまえてたべてしまうのが、嫌になってきた。
このままずうっとごはんをあげて、
寒くなったら一緒になって寝て、
もっといろんなところに連れて行ってあげて、
もっといろんなうたを聞かせてあげて、
いつまでも一緒にいたいと思った。
そうだ、おかあさんと一緒に3人でなかよく暮らそう!と思った。
ちゅんちゅはおかあさんのところににょろにょろをつれていった。
おなかがすきすぎたちゅんちゅはやせて、こわい病気にかかっていた。
だけど、すくすく育っているにょろにょろをとても嬉しそうにみせた。
おかあさんはとてもびっくりした。
そしておおきなおおきなため息をついた。
おかあさんは、大好きなちゅんちゅが生きていくために、とても大切なことを決心した。
忘れられない秋の日。
ちゅんちゅのうたが、よくひびく秋の日。
大人になる前に、泣いたり笑ったりしている日。
にょろにょろが
いなくなった秋の日。