おかあさんについて

人類最後の12人のみなさん、
死後の世界へようこそ。

残念ですが今からこの中で誰か
地獄へ行く人を選ばなければいけません。
これは、人類が創られた時から
ひきかえにある絶対のルールなので
誰にも変えることはできません。

今からみなさんに7つの質問をします。
嘘つきは、地獄におちます。
正直に答えてください。
12人の死者を見渡しながら、神様が言った。



@自分の人生に、悔いはありますか?

あるが11人 無いが1人に分かれた。

無いと答えた1人は、答えた瞬間、消えた。

神様はかまわず続けた。


A自分は天国に行きたいと思いますか?

11人全員、はいと答えた。


Bでは、自分は天国に行けると思いますか?

6人がはい 5人がいいえと答えた。

間もなく、いいえと答えた人が、次々に消えた。

残っている6人はだんだん怖くなってきた。


C現世と天国。行けるならどちらを選びますか?

4人が天国と答えた。残りの2人が、いつのまにか消えていた。


D今までに消えた8人は、今同じ所にいます。
皆と同じ所へ行きたいひとはいますか?

1人が、手を挙げた。そして消えた。


Eでは、誰かに殺されてここに来た人以外、席を立って下さい。

次の瞬間、座ったままの人は消えていた。



神様の前には2人の死者が残っている。


神様は2人をみつめながら言った。

今までに消えて行った人達は、
全員天国へ行きました。 
つまり残念ですが今から、
この中で地獄行きの人を
選ばなければいけません。
もう一度言っておきますが、
質問には正直に答えて下さい。

それでは最後の質問です


F自分より大切なものは、ありますか?

2人とも、とても長い間悩んだ。
答えに嘘があってはいけないからだ。


やがて2人とも、「ありません」と答えた。


神様は、迷わず2人を消した。


未来の未来のおはなし。

最後の人類全員が
神様の力によって天国に行った頃
誰もいなくなった世界で、
神様は深い深いためいきをついた。
なんだかとっても、疲れていた。

神様は、自分の創ったものが
滅ぼしあっていくのを長い間みつめて生きてきていた。

そして大切なことは今、
全て教え終わろうとしていた。

わたしにはわたしの創ったあなたたちすべてが、
何よりずっと大切でした。
もちろん、自分よりも。


そうつぶやくと、
万物を創造した神様は、
すべての親である神様は、

ゆっくりゆっくり

地獄へ落ちていきました。




かみさまは、みんなのおかあさんでした。